JaSST'16東京(4)「時代の変遷と共に変わるテスト ~IoT世界に求められるテスト~」
2016/3/8(火)~9(水)に開催されたソフトウェアテストシンポジウム'16東京(JaSST'16 Tokyo)に参加しました。私が参加したセッションの内容で印象に残ったことを数回に分けて書いていますが、今回が最終回です。
クロージングパネル「時代の変遷と共に変わるテスト ~IoT世界に求められるテスト~」
(0)セッションの資料
http://jasst.jp/symposium/jasst16tokyo/report.html#closing
(1)IoTの定義
インターネット上のサービスと接続されたデバイスあるいは相互接続されたデバイスによって実現されるサービス。
(2)Jeepハッキング
Hackerが3G回線からECUに接続し、内部コマンドで車内制御ができる。
※補足:WIREDの記事
HACKERS REMOTELY KILL A JEEP ON THE HIGHWAY - WITH ME IN IT
(3)各立ち位置のIoTの課題
- クラウド
- 様々なサプライチェーンと繋がる。
- クローズなネットワークから広がっていく。
- 想定外を排除できるか。
- エンタープライズ
- 繋がるから繋がった上で何するか?
- テスト対象の見極め。
- ビジネス視点での評価。
- デバイス
- IoTを支える個の十分性の保証。
- 何をどうテストするか?
- 他をチェックする境界線は?
- 外側の不安:得体の知れないものの脅威、大量データ。
- 内側の不安:個人情報のデータの扱い、隠蔽対象、システムライフサイクルを超過した使用、どこにでも置かれている、帯域の限界。
(4)課題(脅威)に対して我々ができること
- 自分の持ち分のところでやる。
- 繋がる相手を信用しない。
- 仕様通りのデータが来ない前提で。
- 脆弱性:本質はバグなので、バグをなくすこと。
- 弱みを晒さない。
- リスク高い使われ方を防ぐ「サーキットブレーカ」の役割を設計から検討する。
(5)課題解決のために
- テスターが持つべきスキル/素養
- テスト技術の研究成果の活用
Componet-based Testing技術の適用 - つなぐための標準化、規約への関与
- テストのための仕組みも標準に取り込む
- テスターからの積極的な提言が必要
- 組織的な取り組み
- テスト環境、標準化検証環境の整備
- テストラボ
- コンフォマンステスト
- テストのエコシステム
- オープンイノベーション的テスト連携モデル
- サービスを構成する他サービスのテスト情報の共有
- 複数レベルのテストベッドが必要
- デバイス
- 会社
- 産業セグメント
- 政府
- プロダクトラインの知識が必要
- ユーザが接続する方法は様々
- 色んなものを組み合わせてテストする
- 変化を受け入れて楽しむ
所感
IoTやIndustrie4.0という言葉が自組織でも浸透しつつあるが、同時に市場でバグが発生したときに被る損害(健康面、金銭面、時間面)のインパクトは強く広範囲になりつつあると実感しています。これまでの開発資産を流用して機能追加の開発を行いますが、ビジネスや生活スタイルの変化やリスクを何も考えずに開発資産を流用した場合、特定の使い方で機能が損なわれて快適に利用できるどころか害になることを目にしています。
ソフトウェアのアーキテクチャは時代に合わせて変化する必要がありますが、テストも同様にテストアーキテクチャを変化する必要があります。これまで先人が作成したテスト仕様を今の自分だったらどう考え、どうテストするかを見直すと3年先のテストをどう工夫するか楽しみながら進められると思います。
テストに留まらず、開発技術やビジネスの知識、法律や心理学といった学問などの知見を広げることが必要だなと思います。まずは、放送大学を視聴してみるのもアリかなと。