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Software Testingなネタを書いてみた。

James Bachのblog記事"Exploratory Testing 3.0"を一読して(3)

 今回も、James Bachのblog記事 "Exploratory Testing 3.0" について、概要を数回に分けてまとめ、私が感じたことを書いてみます。

以前書いた記事

再掲:本稿に入る前に...

 私がJames Bachのblog記事 http://www.satisfice.com/blog/archives/1509 を見て、内容を理解するために私個人のメモから書いています。本内容は、翻訳でないことをご理解頂きますようお願いします。また、英語の解釈が誤っている可能性もありますので、できるだけ原典(http://www.satisfice.com/blog/archives/1509)を参照ください。

今回の内容

 下記7点で構成されています。今回の範囲は、青文字で示したところです。

  1. 著者のメモ(Autors' note)
  2. はじめに
  3. 探索的テスト1.0: 反乱(Rebellion)
  4. 探索的テスト1.5: 詳細説明(Explication)
  5. 探索的テスト2.0: 統合(Integration)
  6. 探索的テスト3.0: 正常化(Normalization)
  7. 終わりに(箇条書きについて)

5.探索的テスト2.0: 統合(Integration)

5.1 Exploratory Testing 2.0の時代

5.1.1 "完全な探索的テスト⇔完全なスクリプトテスト"
  • "完全な探索的テスト⇔完全なスクリプトテスト"をカギとなる洞察をベースにし、全てのテストはこのスケールのどこかに位置すると認識。* 技術としての探索的テストを話すのをやめ、技術に適用するアプローチとして話すようになった。または、Cem Kanerがいうところの「テストの"スタイル"」。
  • 我々が90年代早期のほとんどの探索的テストは、"フリースタイル探索的テスト(freestyle exploratory testing)"と呼んでいる。
5.1.2 私が感じたこと

 Cem Kanerが、探索的テストを「テストのスタイルだ」と言及していた理由が、探索的テスト1.5の経緯があって、技術としての探索的テストの考えをやめたということなので、思考過程にスポットを当てることに方針を転換したんだと理解しました。

5.2 2006年

5.2.1 探索的テストのシンプルな定義

 「同時に学習、テスト設計、テスト実行を行う。」に落ち着いた。

5.2.2 探索的テストリサーチサミット開催後、Cem Kanerらが提案した探索的テストの定義。

 「個々のテスターの自由と責任をテスト設計、テスト実行、テスト結果の解釈、プロジェクトの過程の開始から終結まで並行して継続する成熟した支援行動を行うテスト業務の質を継続的に最適化する」ということを強調したテストのスタイル。

5.2.3 探索

 以下を意味する。

  • 「空間を探すこと」
  • 「革新的であること」
  • 「地図なしで動くこと」
  • 「以前誰もやっていないことをやること」
  • 「複雑なことに取り組むこと」
  • 「自然に演じること」
5.2.4 有能なTesting
  • 自律的であることを認識した。
  • 換言すると、代理以外の全ての関係は、能力のある探索的テストは能力のあるスクリプトテストと区別できないのである。
  • 代理事項は、「資料なし」「熟考しない」「経過時間ではない」「道具ではない」「意識した目的ではない」のいずれかである。
  • 「探索的テストについて何を明確に探索するか?」という質問の回答を詳細に述べる、探索的テストの能力と戦略のリファレンスシートを作成した。
5.2.5 私が感じたこと

 探索的テストの定義は、「同時に学習、テスト設計、テスト実行を行う。」を知っていましたが、9年前に開催された探索的テストリサーチサミット後の定義が「個々のテスターの自由と責任をテスト設計、テスト実行、テスト結果の解釈、プロジェクトの過程の開始から終結まで並行して継続する成熟した支援行動を行うテスト業務の質を継続的に最適化する」と踏み込んだ内容になっており、日本国内で探索的テストの定義について議論したら、どのような定義になるか興味深いです。

5.3 2007年

5.3.1 書籍"The Shape of Actions"

 書籍"The Shape of Actions"の影響から、Jamesは人の判断と知恵が要求された過程とそうでない過程の違いを区別し始めた。 Jamesは、前者を"sapient"、後者を"non-sapient"と呼んだ。

5.3.2 私が感じたこと

 書籍"The Shape of Actions"がどのような内容なのか分かりませんが、探索的テスト実施中の思考過程を認知科学で解明し始めたものと解釈しました。また、ニューロサイエンスのアプローチで探索的テストについて研究することも必要かもしれません。

5.4 2009年

5.4.1 TestingとChecking
  • Michael Boltonは"Testing"と"Checking"を、"Testing"は自動化できないが、"Checking"は完全に自動化できると区別した。
  • "Checking"は、"Testing"の中に組み込まれている。
  • James Bachにとって"Checking"は、シンプルに"non-sapient Testing"と区別していた。
  • "non-sapience"が"馬鹿"のように聞こえるので、それを"non-sapience"と呼ぶことにより、"Checking"を非難していた。
5.4.2 私が感じたこと

 "Testing"と"Checking"の違いについて見聞することが多くなりましたが、"sapient"と"non-sapient"と対比し、脳に高次機能があるか否かの違いだと考えると腑に落ちる気がしました。

次回

 青文字で示したところを書く予定です。

  1. 著者のメモ(Autors' note)
  2. はじめに
  3. 探索的テスト1.0: 反乱(Rebellion)
  4. 探索的テスト1.5: 詳細説明(Explication)
  5. 探索的テスト2.0: 統合(Integration)
  6. 探索的テスト3.0: 正常化(Normalization)
  7. 終わりに(箇条書きについて)