JaSST'16東京(3)「UX/ユーザビリティのためのテスト - ユーザーテスト見学会 at JaSST」
2016/3/8(火)~9(水)に開催されたソフトウェアテストシンポジウム'16東京(JaSST'16 Tokyo)に参加しました。私が参加したセッションの内容で印象に残ったことを数回に分けて書いてみます。
JaSST'16 Tokyo 企画セッション:「UX/ユーザビリティのためのテスト - ユーザーテスト見学会 at JaSST」
(0)セッションの資料
http://jasst.jp/symposium/jasst16tokyo/report.html#plan9
(1)ユーザビリティテストの基本
- 作業課題(※)を提示して、実行過程を横で観察するだけ。
※例:ECサイトで好みの商品を1つ購入してください。 - 被験者は、思考発話(思ったことを口に出すこと)しながらタスクを実行してもらう。
理由:発話が無いと認知のプロセスが分からないため。
(2)ユーザテストの観察ポイント
- 効果
ユーザが実現まで到達できるか? - 効率
ユーザがなるべく遠回りせずにタスクを完了できるか? - 満足度
文字が読みづらいか?
(3)ユーザビリティラボ(UXラボ)
- 従来の環境
- マジックミラーがある大がかりな部屋。
- 4週間の工数で200万をかけ、専門家による分厚い報告書で重厚に分析されている。
- 「これで十分」な環境
- 部屋の片隅で十分。
- 身近な道具(高価な機材が無くても手作りでOK)で十分。
- 手軽に分析(専門的な手法を駆使しなくてもよい)で十分。
(4)本セッションで行ったユーザビリティテスト
仕様は、以下の通り。
- 備品
- USB書画カメラ(用途:スマホ操作の指の動きを把握)
- 仕切り
- ノートパソコン
- プロジェクタ
- 対象アプリ チラシ閲覧アプリ@スマートフォン
- シナリオ
(新聞を購読していないので)近所のスーパーの折り込みチラシが入手しにくい状況であった。 - タスク
- 近所のチラシが届くようにしてください。
- 操作時間は、10分程度とする。
(5)進行時の配慮
ユーザビリティテストを行うときに、以下のような配慮があるよい。
- 「○○さんではなく、アプリユーザとしてみてます」とユーザビリティを行うときの前提として説明する。
- 被験者がリラックスしてユーザビリティテストができるよう、進行者がインタラクティブに質問や会話したりするとよい。
- 「普段と同じようにスマホを操作してください」
- 「操作に戸惑っていても気になさらないでください」
- 「チラシをめくってみてどうでした?」
- 「アプリ評価はいくつつけますか?」
- 「この後、アプリを使いますか?それとも削除しますか?」
(6)おわりに
- 発話と行動を観察して、問題をみつける。
- ユーザテストは、測定するだけ。
- 上記2点の後、Learn→Buildで解決案を考えたら、もう一度ユーザテストして、問題が解決できたか検証する。
所感
ユーザビリティテストは、業務で経験したことがないですが、地域の勉強会コミュニティで試行したことがあります。勉強会メンバー同士でユーザビリティテストを行ったとき、思考発話が円滑にできる方とそうでない方で二分しました(※私は思考発話が円滑にできなかったです)。当時をふりかえると、普段とは違う環境で多少の緊張があり思考発話するときの障害になっており、思考発話しやすいように進行者が被験者に発話を促すことが課題でした。雑談して被験者がリラックスでき、何を感じているかを引き出すようなトーク力が必要だなと思いました。
また、書画カメラを利用するとビデオカメラでやや大がかりにセッティングしなくても、パソコン上でモニタリングや録画できるので準備が容易かつ低コストで実験環境が構築できるので、業務で試行して開発の上流工程に改善のフィードバックできるような気がしました。